| ＜５月８日（月）＞ 今日は出発日である。３時過ぎくらいに成田で新田さんと待ち合わせ している。私はリムジンバスで成田入りした。成田の構内に入るところ でパスポートの提示を求められたが、もし見送りだったらどうするのだ ろう。都内は比較的晴れていたのに成田は雨が降っている。さすが成田、 恐るべしだ。 少し遅れて新田さんと落ち合った。すぐにチェックインと出国手続き を済ます。余談だが、新田さんはやたらに窓際にこだわる傾向がある。 私はどちらでもいいし、むしろ通路側を選択することが多い。遅く乗っ て早く降りるためだ。 今回はＪＡＬ便を使うことになっている。ＪＡＬでロスまで行って、 そこでアメリカンウェストとかいう弱小航空会社の便でラスベガスまで 移動だ。このアメリカンウェストには嫌な予感がしていたのだが、あと になってこの予感が的中することになるのである。 ＪＡＬ便はさすがに安心だ。何の不安もなく乗りこめる。ロスまでの フライトは約９時間だ。機内食には騙された。「ビーフ？ チキン？」 と聞かれたので「ビーフ」を選択したが、どこにも牛肉がない。おや？ と思ったが、なんと豆腐にあえてあるミンチ状の肉が牛肉なのだろう。 フライトは退屈である。映画などを見ていたが、いまいち気合を入れ てみる気分にもなれず、惰性で「今そこにある危機」を２回も見てしま った。寝ようと思って友人の医者に処方してもらった睡眠薬を飲んだが 眠れない。眠れないとラスベガスできついぞ。 そういうしているうちに１時間ほどウトウトして無事にロスに到着。 ロス空港は大変古くて汚い。しかもわかりにくい。何とかアメリカンウ ェストのカウンターを探してチェックイン。もうラスベガスまでは一息 だ。 ここで問題発生。レンタルで持ちこんだ海外携帯電話が通じない。去 年も借りたが初日は業者のミスで通じなかった。いい加減な業者だ。す ぐに文句を言いたいが日本はまだ朝の４時くらいだ。くそっと思いなが ら出発まで待つことにした。 ここで最大の問題が発生。なんと私たちが乗るアメリカンウェストの 便がキャンセルになってしまった。アメリカンウェストの野郎、ふざけ るな。天候も良いのに何の理由でキャンセルにするんだ。しかも次の便 は満席などと平気でほざいている。よくよく説明を聞くと、ロングビー チから別の会社便でラスベガス行きが出ているのでそれに乗れとのこと。 「下の階に行ってジェニーを探せ。白いシャツを着て髪が赤い。彼女に 言えばわかる。」 などと言っている。何がジェニーだ。個人の外見的特徴で探させるんじ ゃない。システムで解決しろ。慌てて下の階に行ってジェニーを探すが いない。と思っていたらアメリカンウェストが手配したバスが来たので 乗りこんだ。これで何とかラスベガスに行けるかもしれない。 ロングビーチまでバスで約２０分くらいの移動だ。とても小さな空港 だ。日本で言えば宮古島空港くらいだろうか。AllegiantAirなる、また もや聞いたことのない弱小航空会社の便にチェックインできてほっとす る。近くをブラブラしようとするが３０秒で端から端まで歩いてしまう。 明らかに北九州空港よりも十分に狭い。北九州空港のレストランなんて、 ほんとに立派なものだ。あの北九州空港を立派だと言ったのは私が初め てであろう。新田さんからアイスクリームを買ってもらって食べたが、 疲れた体には大変おいしかっった。 出発の時間だ。これまた小さな飛行機に乗りこむ。非常口の近くに座 っていた日本人のカップルに、客室乗務員さんが 「この席は緊急時に私から指示を出す可能性がある。よって英語が理解 できないとダメだ。あなたたちは英語を理解できるか？ 英語が喋れ ないとこの席に座ることはできない。」 と言っている。あえなく、その日本人のカップルは後部座席へと移動し ていった。あんなひどい言い方もないぞ。 約１時間でラスベガス到着。泊まるホテルはピラミッドで有名なルク ソールだ。部屋に入ってからすぐにメールチェックとともに、携帯電話 の文句を言わねばならない。日本に電話しようとしたが通じない。フロ ントに確認すると、 「キャッシュカードを提示するか、お金をデポジットしなければ国際電 話をかけることはできない」 とのこと。なーるほど。当たり前だな。 すぐに国際電話ができるようになって業者に連絡を取った。結局携帯 電話は通じない。はぁ。。。 すでに９時近くになっている。夕食を食べに行くことにした。ルクソ ールの中にあるビュッフェレストランに行くことにした。レストランを 探してウロチョロしたがピラミッドの中は度肝を抜かれる規模だ。明ら かに福岡ドームよりも広い。その中にカジノとレストランなどが詰まっ ている。感動的ですらあった。 ビュッフェでは新田さんがサラダを取りすぎて、それだけで腹いっぱ いになっている。初歩的なミスである。 夕食からの帰り道で大失敗だ。方向感覚を失ってしまい、適当に歩い ていると、なんと隣のマンダレイベイホテルのカジノに迷い込んでしま った。うろたえて歩き回っているうちに外に出たが、人通りが全く無い 通りだ。遠くにピラミッドが見えている。どうしてこんなに遠くまで来 たんだ？ と思ってみたが、とにかく帰らねばならない。 「襲われたら走って逃げよう」 と話し合ってからピラミッド目指して何とか帰ることができた。 一日目は時差もあり、とにかく疲れた。レポートなどを書いている場 合ではないぞ。早く寝ることにしよう。 ＜５月９日（火）＞ 朝起きて、ホテルのレストランに速攻で行ってビュッフェを食べた。 コンベンションセンターまでタクシーで行こうとするが、ホテルの玄関 で約１５分ほど待たされる。うーん。。。。 やっとタクシーが来てレッツゴーだが、どうも遠回りをしている気が する。ハイウェーに乗らなくてもいいはずだが、わざわざそっちを通っ ているようである。まぁ、この際細かいことは言わないことにしよう。 ラスベガスはマフィアが町を支配しているので比較的安全なところだが、 無用のトラブルは避けたいところだ。 コンベンションセンターに到着。バッジピックアップを済ませ、開始 の１０時までぼけーっとしていると、ＣＴＣの山内さんに会った。ご苦 労様です。 やっと１０時になり会場に入る。今回の視察は、新田さんと同行する ことになった段階で、私の当初の目的とは違う視点で見て回ることは覚 悟していたが、予想通り新田さんは「BlueTooth」一辺倒でエリクソン等 を回っていく。が、当初の新田さんの予想とは全然違って、BlueTooth はどこにも影も形もない。やっとAXISのブースで簡単な構成の出展があ ったが、それだけだ。私の考えでは、元々視察目的を極端に絞り込むべ きではないと思うが、結局一日中、新田さんはBlurToothの呪縛から解き 放たれることはなかった。「出張報告の格好がつかない」ことを盛んに 気にしている。元々格好をつけようと考えていたことが間違いだろう。 私が見た感じでは、昨年はVoiceOverIPの出展が多かったが、今年は そのトラフィックをいかにマネージメントするか、QoSのコントロールに 主眼が置かれている気がした。PacketShaperのようなボックスタイプの QoSコントローラーとグラフィカルなマネージャをセットで出しているブ ースが目立った。 ciscoのブースでは、すでに世界一の企業になったことを反映してか、 あまりにも多くのソリューションを展示しており、逆に方向性を感じる ことができなかった。 あまり自分の仕事には関係がないが、IPベースの遠隔カメラの出展が あった。もちろん今までもこのような製品はあったが、この製品は遠隔 でカメラの向きやズームなどを自由で変更できる点が秀逸だ。現在東陶 で使用している、あまりにもくだらない遠隔監視カメラシステムは、こ れで即刻廃止だ。あんなバカな仕組みは見たことがないと思っていたが、 これでお役御免だ。ご苦労様でした。 また、WiFiのブースで幸先良く抽選でポロシャツが当たった。サイズ と色を選択できる点が評価できる。WiFiは気に入った。 と、日経コミュニケーションの野沢さんにあった。VoIPの記事を載せ てくれた担当者だ。ホームネットワークに関する情報などを仕入れる。 さすが業界人だけあって、幅広い知識を持っている。感心した。 あれっ、去年苦労して登ったロッククライミングがどこにも無いぞ。 やはり登る人たちは登ることに一生懸命でその会社のソリューションは おろか、会社の名前さえ覚えないということに気がついたのだろうか。 懸命な措置だろう。もちろん私も会社の名前を覚えていない。 昼食はコンベンションセンターのレストランで食べた。と言っても、 私は元々小食なので朝食は食べないことにして、コーラだけ飲んだ。そ れにしてもアメリカ人は良く食う。馬鹿でかいハンバーガーにポテトを 山盛りして、さらに変な揚げ物みたいなのをたらふく食べている。当然 サラダもたくさん食べる。私の夕食の２倍くらいだろうか。こいつらバ カじゃなかろうか。でも飲み物に気を遣う人は結構いて、普通のコーラ ではなくダイエットコーラの人気が高い。お前らは食生活を改善しない と、飲み物だけ気を遣っても仕方ないんだよ。 一日目はこの辺で切り上げることにする。ホテルにはすぐに帰らずに、 各ホテルのアトラクションなどを見に行くことにした。コンベンション センターからのシャトルバスでトレジャーアイランドに向かった。ここ は海賊船のショーをやっている。良い場所をキープして今か今かと待っ ていたが、なんと中止。不覚にも英語のアナウンスを聞き漏らしてしま ったが、風が強いとか、そんな理由だろうか。 次にミラージュの火山の噴火ショーに行く。が、日が暮れてから、と のことでここも見ることができない。日が長いので夜の８時くらいまで は明るいのだ。 ここで私はすぐに帰ろうとしてミラージュからタクシーに乗ろうとし たのだが、スナップ写真にこだわる新田さんは 「パリスに行って、ホテルを背景に写真を撮りたい。」 とのことで、パリスに向かうことにした。ロングビーチでも飛行場を背 景にスナップ写真を取ったが、新田さんにはスナップ写真にこだわりが あるようだ。 なんとか記念写真を収めて、今度こそルクソールに帰ることにした。 が、中途半端な距離を残してしまい、まぁ歩くか、ということで延々と ３０分くらい歩いて帰った。 夕食はまたもやホテルのビュッフェだ。ここでチップを置いていくの かどうかで散々迷った。普通のレストランではもちろん必要であるが、 ビュッフェでは現地のアメリカ人も置いていっていない。が、去年、 アトランタのビュッフェでウェイターと言い合いになり「Sayonara！」 と悪態をつかれた三浦君の例もある。やはり慎重にならざるを得ない。 結局置いていくことにした。 部屋に戻ってメールのチェック。と、もう１１時半だ。ちょっと疲れ たので早めに寝ることにしよう。 ＜５月１０日（水）＞ 今日は少し予定を変更してテレビのinterop特集で昨日のビルゲイツの 基調講演の内容をチェックしてから出かけることにする。遅い朝食兼昼 食をビュッフェで食べてタクシーで移動することにする。ところがタク シーには長蛇の列ができている。こりゃイカン。と思ったが他に手段が 無いので辛抱強く待つ。 待つこと約２０分。やっと乗ることができた。が、今日もやはり遠回 りをしている。遠回りをしているという確信もないので黙っていたが、 よほどの方向音痴で無い限り、遠回りには気がつくぞ。なんだかなぁ。 会場入りして早速見て回る。が、今日の内容は特に触れないことにし よう。あまり昨日の内容を超えるものでは無かったためだ。 ４時くらいになってそろそろ体力も限界になったので引き上げること にする。ホテル行きのシャトルバスでルクソールに戻った。毎日同じホ テルで食事をしているので、今日はちょっと離れたところに行こう。き のう見れなかったショーを見がてらトレジャーアイランドの方に出かけ ることにした。日が暮れないと噴火ショーがないので、７時に出発に決 めてそれまでメールのチェックをする。 時間が少し余ったのでホテルの中（というよりピラミッドの中）にあ るツタンカーメンミュージアムに一人で行くことにした。新田さんは用 事がある、と言っていたので今回は単独行動だ。入り口でヘッドホンを 渡されてそれを聞きながら場内を回る。なお、日本語をリクエストすれ ばテープを換えてくれる。約１０分ほどの行程だ。内容はたいしたこと ないが、ツタンカーメンの墓の再現がリアルで興味深かった。５ドルが 高いか安いかは難しいところだ。 ７時に出発。今日はタクシーを使わずにＣＡＴと呼ばれる路線バスに 乗って行こう。料金は２ドルでダウンタウンの方まで走っている。ラス ベガスは比較的安全な町で、このＣＡＴにも安心して乗っていいらしい。 実際、危険なことは全然なかった。 ミラージュの前まで来たので降車する。ここは火山の噴火ショーをや っている。「天候が悪いときはパフォーマンスを中止する」と但し書き があるので不安だったが、待つこと１５分、ついに始まった。流れ落ち る滝を火山に見たてて、その頂上が噴火するという趣向だ。スケールが 大きい。本当に火柱が上がる。数十メートルは離れているが、はっきり と火の熱さを感じる。これは凄い。。。 次に昨日見れなかった海賊のショーを見に行く。トレジャーアイラン ドだ。が強風のためきっとダメだろう。ホテルのロビーで分かるかもし れない、と思ってホテル内に入るとカジノのキャッシャーがあったので 「きょうは風が強いがショーはあるのか？」 と聞くと、 「ｘｘｘｘ。ｘｘｘｘ。ショーは定時に始まる」 と言っている。よく聞き取れなかったが、とりあえず待つことにする。 が、やはり直前の会場アナウンスで中止が流れた。あーあ。 夕食がまだなのでトレジャーアイランドのビュッフェで食べることに した。なぜビュッフェばかりかというと、出張の日当では普通のレスト ランでは足が出てしまうからだ。が、失敗だ。ルクソールのビュッフェ の方が５倍は良い。料理が少なすぎるぞ。パンも変な味がして不味い。 食えたもんじゃない。まぁ１３ドルくらいなのでこの程度か。。。 ここで、新田さんがどうしてもルーレットをやりたいと言っている。 私は自分の性格がよく分かっているので賭け事には手を出さない。とこ とんまでやってしまうからだ。中途半端で終わることは私の人生哲学で は許されない。 ということで、他の人がやっているのをじっと見てやり方を覚えて、 それから挑戦だ。難しいことはないが、最低でも５ドルは賭けないとい けないとか、ちょっとしたルールはよく見ないとわからない。ここで新 田さんは１０ドルを投入、ホイールチップに交換した。黒に数枚置いて 見事に的中。新田さんはガッツポーズが出ていた。それから一点賭けが 当たったりと浮き沈みを繰り返し１０分後には全てのチップを巻き取ら れていた。そんなもんでしょ。自分の性格を良く知る私は結局何もしな かった。昨年ラスベガスに来たときは、たった一回だけだかスロットを 回した。今年は何もしなかった。 トレジャーアイランドからの帰りもＣＡＴを利用した。バス停で一緒 に待っていた黒人の少年がこっちを睨んでいるので反射的に目をそらし た。もういいかなー、と思って少年の方を見るとまたこちらを睨んでい る。やべぇ、と思ったら 「バスがすぐに来るぞ」 と教えてくれた。優しいんだな、と感激であった。 ホテルに戻って再びメールチェック。今は１時だ。明日は９時半の飛 行機でサンノゼに移動する。今度はアメリカンエアラインと、少しは大 きな航空会社なので安心だろう。朝の７時半にホテルをチェックアウト するのでもう寝ることにしよう。 ＜５月１１日（木）＞ 今日はサンノゼへの移動日である。フライトが早いので朝７時に部屋 を出る。ロビーはツアーの日本人客で溢れかえっている。こいつらとタ クシー争奪戦になったらたまらんぞ、と思い慌ててチェックアウトしタ クシー乗り場へ急ぐ。誰も並んでいないのであっさり乗れてしまった。 よく考えたらツアーの一団はツアーバスがあるのだろう。 空港へのわずか１０分の間、運転手さんが話しかけてきた。以前立川 にいたことがあるとのこと。米空軍に所属していたらしい。世界で最も 日本が素晴らしいと言っていた。納豆がおいしいとか。俺も新田さんも 納豆は食えんぞ。秋田にも行ったらしく、とてもフレンドリーでサイレ ントなところだと感想を述べていた。ラスベガスのタクシーでは良い記 憶がなかったので、とても楽しいひとときであった。 ラスベガスのマッカラン空港はゲートの直前までスロットマシンが並 んでいる。最後の最後までお金を落としていってくださいという、なん と優しい配慮だろうか。 飛行機はとても小さな機体だ。北九州便のＪＡＳと同じくらいだろう か。私の席の隣は、なんとノーテルネットワークスのエンジニアみたい だ。私は今日、うかつにもノーテルの宿敵シスコのポロシャツを着てい る。しかも持っているバッグもシスコだ。こりゃイカンぞ。が、そんな ことに気付くこともなく、彼はフライト中ずっと一心不乱に技術資料を 読んでいた。参ったのはこのエンジニアが極端な肥満児であること。肉 が私の席にはみ出してきて邪魔になって仕方がない。概してアメリカ人 には肥満児が多い。食生活に気をつけろ！ フライトは２時間弱。あっという間にサンノゼ着だ。今日からはここ でレンタカーを借りようと思っている。インフォメーションに聞くと、 「予約はあるか？」 と聞いてくる。無い、と答えると困った顔をしている。が、とても親切 はおばさんで、こちらが ・２日間使用する ・小さな車輌が良い ・サンノゼで借りてサンフランシスコ空港で乗り捨てしたい ということを伝えると、ハーツに電話してくれて取り次いでくれた。正 直言って電話で外人と話をするのは大変難しい。会って話をすれば何と かなることも電話だと逃げが効かないので大変だ。おばさんには感謝だ。 レンタカーシャトルバスでレンタカーターミナルへ行く。空港から約 ５分のところに数多くのレンタカー屋が商売をしている。ハーツのカウ ンターでおばさんから聞いた予約番号を伝える。新田さんは国際ライセ ンスを持っていないので私がドライバーとして借りることにした。異国 の地で面倒なことになってはいけないので保険はフルだ。車種を何にす るか聞いてきたが、えーっと、と迷っていると 「カローラ？」 と聞いてきたので、まぁいいか。カローラにしよう。せっかくアメリカ なのだからアストロでも借りたかったが、安全第一だ。慣れた日本車が 一番だろう。但し、当然左ハンドルだが。 明日訪問するシスコは当然だがシリコンバレーにある。だが不便な場 所だ。行くのはタクシーでなんとかなるが帰りが心配だ。そこでレンタ カーを借りることにしたのである。また帰りの便はサンフランシスコか らなので車での移動が一番便利だ。 レンタカーターミナルから出て、いきなりウィンカーのつもりでワイ パーを動かす。そんなバカなことはやらないよ、と思っていたが発車後 ３０秒であえなくやってしまった。 今日は時間が少し余っているのでサンフランシスコ方面に出かける事 にした。お目当てはＵＣバークレー校とゴールデンゲートブリッジだ。 バークレーは私はどうでもいいのだが、こういうことにこだわる新田さ んが行きたがっている。移動は１０１号線を使う。片道５車線くらいあ るハイウェーだ。左ハンドルで車幅間隔がよくわからない。助手席に乗 っている時と同じだろ、という突っ込みは間違っている。どうしても右 に寄ってしまう。 また、右ハンドルならばドアミラーとバックミラーの関係など体が覚 えているので車線変更の際の確認もなんともないが、左ハンドルだと目 で見て頭で考えないといけない。これは大変つらい。はっと気がついた が、これはおばさんの運転と同じだ。おばさんはこんな風に運転してい るのでヘタクソなんだろう。 バークレーに行くとただの大学だ。九大と変わらない。せっかく来た ので食堂でハンバーガーを食べた。 次はゴールデンゲートブリッジだ。ベイブリッジを通って向かってい く。途中で何度も道を間違えて、やっと到着。とても寒いところだ。潮 流が速く建設不可能と言われたが苦労の末にできあがった橋だ。なお、 参考までにシスコシステムズのロゴはゴールデンゲートブリッジのシル エットである。遠くにアルカトラス島も見える。速い潮流と冷たい水温 のため脱獄不可能と言われた刑務所跡がある。アルカポネも投獄されて いた。 そのあとでフィッシャーマンズワーフに行く。なんという事はない。 普通の観光地である。 さらに、急坂で有名なサンフランシスコの道路を登ってダウンタウン に行った。車が大変多い。つい車幅間隔がおかしくなって、右側がギリ ギリだったみたいで、新田さんは 「今のは１センチくらいしかなかったぞ」 と言っていた。やっぱり難しい。 この辺で暗くなりかけてきたので帰ることにした。１０１号線を南下 してホテルに向かう。またもや新田さんがナビゲーションに失敗して変 なところまで来てしまった。はっと思うとすでに町の雰囲気が違う。ど うも危険な地域に来たようだ。時々見える住民も白人ではない。危ない 危ない、ユーターンだ。 やっとホテル到着。ハイアットだ。だがとても古いホテルだ。印象最 悪。部屋はまぁまぁ。ダブルのベッドだ。が、隣の部屋のバカおやじの 声がうるさく聞こえる。こりゃ辛抱できんぞ、と思って 「隣の部屋がとてもうるさい。話声だ。部屋をチェンジしてくれ」 とフロントに伝えると、すぐに対応してくれた。当たり前のことだろう が、その態度が素晴らしかった。印象は最高だ。 部屋チェンジの際に荷物を運んでくれたベルボーイさんに聞くと、 「このホテルは何しろ古い。１９２０年代に建設された。しかしこれが 良いといってくれるお客さんもいる。良くないというお客さんもいる。」 と言っていた。俺は気に入っているぞ。 夕食はホテルのレストランが一箇所しかないし、その上、イタリアン でメニューに書いていることが少しもわからない。近くのヒルトンなら ばちゃんとしたレストランくらいあるだろ、ということでヒルトンまで 歩いていった。チキンを食べて二人でチップ込で４３ドル。こんなもの かな。 明日はシスコ訪問だ。有益な情報を得てきたいと思う。対応してくれ るローランドさん、よろしく。 ＜５月１２日（金）＞ 今日はシスコシステムズ訪問である。言わずと知れた株式資産総額で 最近マイクロソフトを抜いた世界一のネットワーク機器メーカである。 朝９時にホテルを出てレンタカーでシスコに向かう。なお、このホテル には駐車場が無い。ベルボーイに鍵を預けてどこかに車を駐車してもら っている。なので、持って行ってもらったり持ってきてもらったりする とその都度チップがかかってしまう。面倒だ。 ３０分ほどでシスコ到着。世界一なので大きなビルがドーンとあるか と思うと、こじんまりとした建物が無数に並んでいるという感じだ。大 学のキャンパスをイメージしているらしい。私たちが訪問したのはＥＢＣ （ExectiveBreafingCenter)というラボ施設だ。 受付でRolandさんに約束がある旨を伝えてしばし待つことにする。受 付のおねぇさんが 「何か飲みものがいりますか？」 というので水を頼むと、ミネラルウォーターがボトルごと出てきた。日 本とは習慣が違うなぁ。 ほどなくしてRolandさんが現れた。なんと、日本語を完璧に話せる。 ヒゲを生やしたナイスガイだ。ラボの約束の時間まで少々あるので、レ ストランでお茶をすることにした。Rolandさんはおかぁさんが日本人で、 日本には１０年近く住んでいたそうだ。道理で流暢に日本語を話せるわ けだ。丁寧語や謙譲語も完璧だ。むしろ私よりも完璧だ。教えて欲しい。 ラボの時間になったのでラボ室に移動する。説明してくれるのはJiwan さんだ。ターバンを頭に巻いたインド人である。ＣＣＩＥを持っている スペシャルエンジニアだ。私もＣＣＮＰ，ＣＣＤＰを所持し、ＣＣＩＥ の筆記試験まで合格していることをRolandさんが伝えてくれると、 「Excelent！」 とお世辞を言ってくれた。 説明開始。ここからは英語だ。イーサネット電話とプロトタイプのコ ールマネージャを使って、様々な実験をしてくれた。特にユニファイド メッセージがここまで進んでいるということが驚きであった。詳しくは あまりにも難しい話なので割愛したいが、電話機でWebが動作して、そこ でディレクトリサービスが動作して社内の情報を見ることができて、電 話帳もそこで見て直接電話できる、と言えば何となくわかるだろうか。 ちなみにJiwanさんの英語は聞き取りやすい。アメリカ人の英語は聞き取 れないことがあるが、アメリカ人以外の英語は聞き取りやすい。日本人 の英語が聞き取りやすいのと同じ原理だ。経験上、ドイツ人の英語は良 かった。発音がはっきりしているからだ。 説明が終わり、帰ろうとするとRolandさんがランチに誘ってくれた。 ランチを食べながらRolandさんといろいろな話をすることができ有意義 であった。サプライチェーンマネージメントや連結決算によるグループ 統合の動きを捉えて、シスコがどのような戦略で進もうとしているのか をおぼろげながら掴むことができた。 なぜ日本のビジネスマンが生産性の高い仕事ができないかということ について、終身雇用制が大きいのではないかと言っていた。会社にいれ ば給料が貰えるし、一生懸命働こうと働かなかろうと給料に差が出るこ とはほとんどない。自分の能力でいかに会社に貢献するかという点で制 度的に日本はアメリカに劣っている。 しかしシスコの社員がお金目的だけで働いているかというとそうでは ないらしい。「愛社精神」という言葉で説明したが、会社を誇りに思う 気持ちが日本の企業の「愛社精神」とはあきらかに違う。色々なことを 考えさせられたが、とても楽しいひとときであった。 Rolandさんにお礼を言って別れて、私たちは時間が余ったので新田さ んが行きたいというスタンフォード大学に行くことにした。いわゆるパ ル・アルトという地域で、とても住みやすい町として知られている。道 に迷って、コンビニの駐車場でパトカーの警官に道を聞いたりした。途 中、塀に囲まれた危険な地域に入りこんでしまって明らかに町の雰囲気 が悪くなった。黒人少年がたむろしている所もある。やばい。 兵頭：「引き返しましょう」 新田：「前の車も言ってるんだから大丈夫だろ」 兵頭：「止められそうになったらひいて逃げますよ」 新田：「おめぇ、ひくなよ」 とか言いながら、なんとか辿り着いた。とにかく広い。が、やはりただ の大学だ。 それから新田さんが買い物があるというのでサンフランシスコのユニ オンスクエアというショッピング街に行くことにした。ダウンタウンの 中心地なので車の運転が大変難しい。一方通行ばかりで思った方向に進 めない。駐車場に入ろうとするが、新田さんが 「いくらだ？」 とか言うのでなかなか駐車できない。この際、こまかい駐車料金はどう でもいいと思うのだが、こだわりがあるようだ。一時間ほど駐車場を探 してダウンタウンをウロチョロしてやっとパブリックパーキングに入れ た。ふぅ。町を歩いていると、 「どこに行くんですか？」 と日本人が話しかけてきた。現地のガイドさんらしい。 「あっちは危ないですよ。もし買い物なら安全な場所を紹介しますので そっちに寄って見ませんか。」 という。まぁ、土産物屋とグルになって紹介料を貰っているのだろう。 行ってみても大したことはない。 暗くなりかけていたので帰ることにした。ホテルに着いてレストラン を探してちょっと歩いたが、さすがダウンタウン。町の雰囲気が悪い。 ちょっと離れると危険な様子だ。近くに感じの良いレストランを見つけ たのでそこに入った。ウェイトレスさんが楽しい人で 「私も日本語をひとつ知っている。”ありがとう”だ。」 とのこと。 「”ありがとう”のスペルを教えてくれ。」 ということで、どうせ覚えないだろうと、ちょっと汚い字でメモ帳に書 いてあげた。すると、なんとチェック（請求書）に 「ありがとう。ThankYou！」 と私の汚い字をそのままそっくり真似て書いていた。彼女はこれからず っと私の汚い字を手本にして書き続けることであろう。 |