| １１／３０（土） 福岡空港での出国手続きは滞りなく済んだ。しかし思いのほか時間が かかるもので、少なくとも１時間以上は前に空港に着いておく必要が あるようだ。中華航空の便であるが日本発なのでなんとなく精神的に は余裕である。別に何のプレッシャーも感じない。 飛行機はボロボロである。さすがにジュラルミンの外観は錆びたりし てはいないが、車輪格納庫周辺は錆が浮きまくっている。うーん... 飛行機に乗って驚いた。よく考えれば当然なのだが、乗員が皆中国人 である。しかしスチュワーデスの動きは大変機敏で、ドリンクサービ スなどは日本の５倍くらいのスピードで進んでいく。好感が持てる。 だが、話しかけられるのは当然中国語であり、英語も発音が悪いと聞 き取ってくれない。私は「オレンジジュース」が通じなくて困った。 原点に帰り「オーレンジジュース」とアクセントに気を付けるとＯＫ だった。 そんなこんなで２時間後に上海着。飛行機は変わらないのだが、入国 手続きをしないといけない。飛行機での席が出口に近かったこともあ り、入国審査窓口は待たずに入れた。日本人はほとんどノーチェック らしくて、何も問題は無かった。内心、持ち込もうとしていた違法Ｃ Ｄ−ＲＯＭが見つからないかビクビクだったが、あまりにもあっさり と通過できた。 しかしここで次にどうしたらいいのかわからない。案内窓口などはど こにも無い。思い切ってその辺にいた空港職員に「トゥペキン」と言 うと「カード、カード」と言っている。「ん？ パスポートかな？」 と思ったけど違うようだ。相手は中国語でまくし立てている。「もう ダメだ」と思ったけど飛行機を降りた時に貰ったカードではないかと 思い差し出すとＯＫ。向こうに行け、という方向にてくてく歩いてい く。中国人は皆怒ったように話し掛けてくる。そのたびに「トゥペキ ン」を連呼して切り抜ける。 そしてたどり着いたロビーは明かりがついていない。しかも私ひとり だ。「ここ、違うんじゃないの？」とよそに行こうとすると空港職員 が怒り出す。最悪。ここに散ってしまうのか、と思った時に明かりが ついて団体のおばさんたちが現れた。私の行動が早かっただけのよう だ。この時ほどおばさんを頼もしく思ったことはないだろう。 上海からは中国人で満席だ。福岡を発つときには感じなかったプレッ シャーを感じるし、心細い。複数で行動していればなんということは ないだろうが、ひとりで、しかも中国だ。 余談であるが、仕事で中国人とつきあいがあるのだが、彼らは「恩義」 とか「義理」とか通用しない。日本人的なわびさびを期待していると 頭に来ることがある。国民性の違いだと気づいてからは問題ないが。 そして北京着。なんと雪が積もっている。マイナス２度だそうだ。私 は今回の出張のためだけにコートを購入したが、大正解だ。やはり大 陸だ。スケールが違うぞ。しかも空港ターミナルに横付けされなくて、 いきなりバスに乗らされる。やってくれるなぁ、北京空港。 ここからがまたわからない。国際線と国内線が入り交じっているため どこに行っていいのかよくわからない。一応荷物を受け取る「グルグ ル装置」のところに出てきたので一安心。しかし私の荷物が出てこな い。職員に聞いても中国語攻撃だ。最悪。じっと待つこと２０分。い い加減にしろよ、と思い警官みたいな人に「ＣＡ９１６」と便名を告 げると「向こうだ」とのこと。国際線の入国手続きの窓口の横に狭い 通路があり、そこから国際線の荷物受け取り場に出た。そこに寂しく 私の荷物がグルグル回っていた。大変悲しい。 出口の外は人でごった返している。いきなりあやしいおやじが話し掛 けてくる。無視して「ＴＯＴＯ」の看板を探そうとするが、大変広い のでなかなか見つからない。あやしいおやじはしつこく追いかけてく る。「あーやだやだ」と思っていたところでやっと発見。ふぅ。 北京ＴＯＴＯの米田さんだ。古海さんと同期らしい。 駐車してある車には１０ｃｍくらい雪が積もっている。会社の車でホ テルまで送ってもらう。運転は大変荒い。でも米田さんは 「夜で車が少ないのでまだまだですよ。明日はびっくりすると思いま すよ。」 と言っていた。 ホテルに着くと磯田さんが出迎えてくれた。ここまできたらあとは大 丈夫だろう。野口さんの報告では、中国ではアメリカンスタンダード のシェアが大きいとのことだったが、ここはＴＯＴＯだ。しかし野口 さん曰く 「ホテルは日本のスイートくらい」 とのことだったが、ここは普通のビジネスホテル。東京ビュックより 狭い。しかも暗い。北京ＴＯＴＯがスポンサーなので贅沢は言えない。 ＴＶは当たり前だが中国語なので全然面白くない。しかし仕事で来て いるので当然の待遇だ。 私の今回の仕事は ・今後爆発的な需要が期待できる中国での、ネットワークの足がか りを作ること。 ・具体的にはＴＯＴＯ中国と北京ＴＯＴＯの１対１接続を実現する。 ・情報システムに対する信用を築き上げること。 である。そういう意味では大変なプレッシャーを感じる。何しろ北京 ＴＯＴＯの予算で出張して来ている。失敗は許されない。ばっちり決 めてやろうと思っている。 １２／１（月） 異様に寒い。外はマイナス５度だ。我が人生でも３本指に入るほどの 寒さだ。ホテルから北京ＴＯＴＯまでは歩いて１０分程度。磯田さん と一緒に歩いていく。途中は「これぞ中国」という感じの街並で、自 転車がブイブイいって通っていく。わけの分からないものを売ってい る屋台などが立ち並び、よく言えば活気に満ちている気がする。が、 悪く言うと汚らしくて雑然としている。 北京ＴＯＴＯの入り口では門番が文句を言ってくる。磯田さんが得意 の中国語で軽くあしらって一件落着。 今日は北京ＴＯＴＯで打ち合わせ。出席者は北京ＴＯＴＯの米田さん、 ニエさん、通訳兼システムが分かっている女性、ＴＯＴＯ北京の磯田 さん、そして私である。ニエさんは北京ＴＯＴＯのＬＡＮの構築やシ ステムの開発をやっている方で、最近研修で日本に来ていたらしい。 まず、現在のＦＡＸを用いた情報のやり取りについて話を聞く。要約 すると ＜ＴＯＴＯ中国から＞ ・出庫依頼書（注文書） ＜北京ＴＯＴＯから＞ ・出庫通知書 ・在庫日報 をお互いにやり取りしており、出庫依頼書と通知書は４０回／日程度 の頻度である。在庫日報は１回／１日だ。もちろんもっと他にも帳票 はあるのだが、今回の報告はシステム化するところに絞って書くこと にする。 出庫依頼書は、その都度ＦＡＸで届く。すべての業務の始まりはこれ だ。出庫を終えたら出庫通知書を返送する。北京ＴＯＴＯではaccess で作成したシステムが稼動しており、ＦＡＸからデータを拾って手入 力し、また出庫通知書も手で記入してＦＡＸしている。この作業で、 ４〜５時間程度かかっている。そこでこの作業を２拠点でファイルを 共有することによって電子化を図り、省力化・業務のスピードアップ を目指すものである。 システムの概要は ＜ＴＯＴＯ中国＞ ・WindowsNT4.0 ・Hayesモデム ・RASを稼動させる ＜北京ＴＯＴＯ＞ ・Windows95 ・Hayesモデム である。回線はアナログ公衆回線で品質は悪い。あらかじめ決められ たディレクトリに保管された出庫依頼書を「１１時」と「１６時」に 北京ＴＯＴＯからＴＯＴＯ中国のRASに接続を行ないダウンロードする。 そこにファイルがあるということは、ＴＯＴＯ中国内の責任者が承認 を行なったということだと捉えて処理を行なう。ファイル名は月で連 番を振り、データを２重取りしたりしないようにしている。また取り 消し・修正が生じた際には、修正後のすべての情報をまたファイルで 受け取り、ハンドでデータの修正を行なう。修正が発生するのが何日 か後だったりするので、なかなかシステム化は難しいところだ。担当 のニエさんも 「なんとかシステム化を今後考える」 と言っていた。 逆に出庫通知書と在庫日報は前日分を１０時にアップロードする。 また、このシステム全体を考えるに当たって難しいところのひとつに、 お互いの拠点で稼動しているシステムが別々の人間によって作られて おり、お互いに互換性がないことがある。そこでお互いのシステムか ら、決められたファイルフォーマットでEXCELファイルをEXPORTする ことにしている。要するに、お互いの拠点で使用されるシステムは accessで作成されているが、ファイルのやりとりは共有するのに必要 な項目を必要な日時で切り出したEXCELファイルである。 なお、セキュリティに対しては何の考慮も行われていない。ハッカー から見ると進入し放題である。これでは大変まずいので、明日北京Ｔ ＯＴＯに行って打ち合わせを行なうが、コールバックでのセキュリテ ィ確保を話し合ってみようと思う。いや、それ以外にこのシステム （データ）を守る方法はないだろう。 また、心配な点がある。それは北京ＴＯＴＯには接続用のWindows95 マシンがまだ未導入なのだ。ニエさんはwin3.1でやろうとしているが、 NTをwin3.1でファイル共有は基本的にできない。FPNWなどのソフトを 導入すれば可能だが。明日は北京ＴＯＴＯに１台だけあるwindows95 パソコンにモデムをセットアップし、とりあえず接続を行なうことに する。それでだめなら私が持ち込んだPCを置いて帰ってもいいだろう。 このPCであれば絶対に自信がある。 とにかく明日は接続することに全神経を注ぐことにする。なんとかな るだろうが、中国語windows95はやはり使いにくい。アイコンの形は 覚えているようで、実は全然覚えていないことが判明した。英語は一 切使われていない。完全に中国語オンリーだ。「閉じる」なども訳が わからない漢字である。ダイアルアップネットワークなどはなおさら わからない。半分以上は勘である。しかし今のところうまくいってい るのが不思議である。 １２／２（火） 今日はいきなりマイナス９度。はぁ... 本日は午前中にＴＯＴＯ中国に出向いて、接続条件等の確認だ。また、 ソフトウェアベンダー四通のワンさんも来ることになっている。道中 の車の運転はひどかった。うまいへたという問題ではない、車線の概 念は無い。無茶苦茶を通り越している。危険という表現も当てはまら ない。絶句だ。あまりにも体を突っ張らかっていたので４０分ほどで 筋肉痛になっていた。もう、やだ。また途中でショットガンみたいな 銃を構えた兵士が何人か道端に立っていた。米田さんは「事件でしょ」 と言っていた。しかしショットガンとは... 余談ではあるが、中国ではいまだに市中引き回しで打ち首というのが ある。実際に見たそうだ。公開銃殺刑はしょっちゅう行われていると のこと。私も違法ＣＤ−ＲＯＭの所持が見つかり銃殺刑になるのでは ないかなど、余計な心配をしていた。 乗合のマイクロバスというのがあって、大変な台数が街を走っている。 この運転がまたひどすぎる。４車線くらいの真ん中でいきなり停車し たりしている。 しかし気がついたことがある。完全に「お互い様」なのだ。日本のよ うに割り込まれたからといって追いかけたりはしない。自分も割り込 み返すだけだ。 さらに衝撃の事実にも気づいた。会社の車はアウディなのだが、空港 からホテルに送ってもらった時には、スピードメーターは４０くらい を指していた。 「マイルかな？ だったら何キロくらいだろう？ 確か７０キロくら いだったかな？ でもえらく速く感じるな。疲れているのかな。」 と思っていた。ところがそれはタコメーターであって、４０００回転 の意味だった。そしてその回転では１５０キロくらいのスピードだっ たのだ。そのスピードでバンバン車線変更をやるし、ギリギリの割り 込みをやる。勘弁してくれ。 ＴＯＴＯ中国着。ＴＯＴＯ中国の担当者は山岸さん。まだ若いのに中 国には３年も滞在しているらしい。ご苦労様だ。 しかし驚いたことに今回接続して実現することの要件がなぜかわかっ ていない。確かに北京ＴＯＴＯ主導で推進してきた内容ではあるが、 これでは大変まずい。説明をしたけれども 「うーん、今回の接続で営業所とのリアルタイムな在庫照会などの仕 組みが実現すると思っていた。この要件では手でやっていたことが 電子化されるだけで、プラスアルファがあまり無いように思える。」 という鋭い指摘が飛んだ。確かにそうだ。しかしＴＯＴＯ中国が積極 的に意見を述べていることを尊重したい。その実現のためにはネット ワークの立場からではなくて、業務の問題点の洗い出しから始めなく てはいけないような大きな議題である。オラクルやMS-SQLなどの本格 的ＲＤＢエンジンの導入などを含めて、情報システム全体でサポート する必要がある。中国内でのネットワーク構築（と言っても彼らにと ってはネットワークなどはどうでもいいことであり、業務の改善がし たいだけである）には大変興味があるようだ。ただ、日本と接続する ことには一切の魅力を感じていない。余計な業務が増えるだけだ、と。 確かにそうかもしれない。中国は中国でやっていこうとしている。 システム的な要件では、保管するディレクトリ名やファイル名のネー ミングルールなどの再確認や、修正・取り消し時のファイル再送のタ イミングについて取り決めを行なった。本来このようなシステム的な ことは私の仕事ではないような気がする。しかし誰も考慮をしていな いことに気づいた現在、放っておくことはできない。これを見てない 振りをするなら今までの情報システムのやり方だ。 またセキュリティはスカスカだ。大穴を開けてハッカーを待っている 状態だ。山岸さんにその危険性をとくとくと説明し、コールバックで の運用をやりましょう、ということになった。ひと安心。 さらにコンピュータ名やドメイン名、ＩＰアドレスなど必要な項目を 押さえていく。ここでワンさんはネットワークという観点ではど素人 であるとわかった。ソフト屋が、便利だからといってＮＴのＲＡＳを 使用するという典型的なパターンだ。lmhostsという言葉が理解でき なかったようだ。まぁいいだろう。それは私の仕事である。 午後、北京ＴＯＴＯに戻った。早速接続に取り掛かる。しかし前日の 報告にもあるようにWindows95のPCが未導入である。しかも使用予定の 電話回線がPBX経由でモデムから発呼できないという致命傷も見つかっ た。そこで国際電話が掛けれるようになっている総経理（社長）の電 話回線がPBXを経由していない事実を突き止め、この回線を用いて、私 が持ち込んだPCでテストを開始した。しかし接続はできるが資源が見 えない。ん？？？ いろいろやったが、NTのドメインに参加するという設定をやっていな いとダメなようだ。おかしい。日本でのテストの結果と違う。 すかさず日本に電話を掛けて、竹根さんに状況を伝えて調査をお願い した。まぁ設定すればいいだけであるが、納得ができない。このまま では説明ができないのである。まぁ竹根さんであれば明日までに原因 を調査できるであろう。安心している。 今日は五十嵐総経理から北京ダックをごちそうになった。当然始めて である。野口さんは「まずい」とか言っていたが、大変おいしい。 仕事で来ているのであまり気を使わなくてもいいのだが、やはり北京 ＴＯＴＯ側が必要があって呼んでいるので、それくらいはやってくれ るのであろう。逆に、じゃあバイバイと言われても飯も食えない状況 に陥るので、そうしてくれないとどうしようもないが。大学卒程度の 学歴をもつ人であれば英語を喋れるのだが、それ以外の人は一切喋れ ない。両極端だ。ウェイトレスなどは全然だめだ。 また、こちらでは２次会というのは無い。というより危険で帰れなく なるので会社の車を待たせていないといけない。その関係で９時には 帰途につくのが通例だ。とにかく街中は危険だ。そういえば先月だけ でタクシーの運転手が北京で２人殺されたとか言っていた。警官も当 てにならない。警官とグル（尊氏ではない）になっていることがあり、 逆に危険ということもある。出国の際には、パスポートを返してくれ ないこともあるそうだ。要するに「金を出せ」ということらしい。 飛行機の時間も迫っているし、何しろ訴えてどうなるという問題では ないので、払うしかないようだ。場合によっては、長期滞在者の場合 は金を貯めているだろうとのことで、２０万円近く請求されたことも あるとのこと（ＴＯＴＯの社員）。言っておくが、俺はお前たちと同 じくらいに貧乏だぞ！ 来月もバイク屋の売り掛けの支払いで首が回 らない。俺から金を取るんじゃない。 疲れているのでもう寝ることにする。そう言えば、朝は８時にシーツ の取り替えなどに女性がやって来る。人がいれば帰るのかと思ったが、 仕事を終えたいのでなんとか入ろうとしてくる。私は 「I leave my room 8:30. Please come in later．｣ などと文法もでたらめな英語で抵抗したが、むこうも困った顔をして いた。うーん、でもパンツとかちらかっているし...とかこちらも困っ ていると「OK」とか行って帰っていった。何がOKなんだろう。わかっ ているのか？ あぁ、また無駄なことを書いてしまった。 １２／３（水） 最終日。元々のスケジュールではＫＤＤ中国への訪問と工場見学とな っている。しかし前日の残作業があるのでＫＤＤ訪問はパスした。ま た、五十嵐総経理に今回の接続に関するもろもろの説明ができていな いので、時間を取ってもらうことにした。本来は北京ＴＯＴＯの担当 者が要件についての説明をするのが筋だろうが、事実上不可能である。 一応わかってもらえたようだ。私を呼ぶ前に誰かが説明をしておくべ きだろうとは思ったが、現在のＦＡＸでのやり取りから説明した。 ・今回のシステムでは手作業が減るだけで、それ以上の効果は無い。 ・とにかく接続することで次のステップへの足がかりにしたい。 という点で意見の一致をみた。ひと安心。 昼飯は国民食堂のようなところで食べる。野口さんたちはいいものを 食べたようなことを言っていたが、私にはそのような待遇はないよう だ。食器を備え付けのナプキンで念入りに拭いてからおかずを取る。 念入りにだ。場合によっては割り箸を持参することもあるらしい。衛 生面では最悪だ。 ここで中国のタクシーの話をしよう。中国のタクシーはほとんどが シャレード（中国名では天真7100）だ。運転席だけが完全に仕切られ ている。また中国人は助手席に乗るようだ。なんだか間抜けだ。 このタクシーに乗れば大体は安心らしい。迎えの車が来ないような非 常事態に陥ったら、ホテルの宿泊カードをこのタクシーに見せればな んとか生命の無事は保証されるようだ。ただし、シャレードの白タク に乗ったら人生は終わったものだと考えよう。乗合バスなどもあるが、 もう４年も滞在している米田さんでさえ「乗らない」と言っていた。 ついでに話すと､磯田さんが 「最近は交通ルールをだいぶ守るようになってきた。警官がいるとこ ろでは信号を守っている」 と言っていた。要するに警官がいない交差点では早いもの勝ちだ。 さらに白バイが取り締まりをやっていた。４車線のど真ん中で車を止 めて、運転手を車外に出していた。その横を猛スピードで車がすり抜 けていく。よく言えば命懸けの仕事であるが、悪く言うとバカだ。 そう言えば、まだ馬車が走っている。レンガなどを運んでいるようだ。 次は接続の残件作業。本番用のWindows95のPCが未導入なので、一台 だけ存在する95のPCを電話回線があるところに移動をして接続を試み た。しかし起動時に「Microsoft Networkﾅﾝﾄｶｶﾝﾄｶ････････」という 中国語のエラーメッセージが出るのでいやな予感はしていたが、やは りうまくいかない。win3.1からのアップグレードということで、そん なのうまく動くわけねぇだろ！ どうしようもなくなった。本番は１月からだが、今後のテストに支障 をきたすということで、新田さんの許可を得て私が持ち込んだPCを置 いて帰る覚悟を決めた。しかし一週間前に壊れてしまったので、ハー ドディスクだけ私のもので、筐体は富士通からの借り物だ。問題が起 こるかもしれないが、ごまかし通そう。 と、そんなことを言っていたら、ニエさんが 「実は一台だけ新品のプリインストールPCがある」 と言い出した。早く言え！ 私はＴＯＴＯ北京に工場見学に行く予定があったので、ニエさんにPC の移設とモデムのインストールをやっておくように言い残してＴＯＴ Ｏ北京に向かった。 ＴＯＴＯ北京は最新鋭の設備を持つ衛陶工場である。年産７０万台を こなせるらしい。１１月に生産を開始したばかりで、まだ試験的に生 産を行なっている段階だ。 時間があまり無いので１時間程度で北京ＴＯＴＯに戻った。ちょうど モデムのセットアップが終わったところだ。ここで１６：００。中国 では残業など一切やらないので残りは１時間だ。すこし焦った。 ネットワーク関連のサービスやプロトコルをインストールし、ダイア ルアップネットワークの設定を行なった。また、lmhostsの記述も必須 だ。神様仏様、繋がりますように！ ここまでやったので当たり前のようにあっさりと接続できた。残り１０ 分でニエさんに引継ぎを行なった。ここでタイムアップ。 ギリギリ自分の仕事は完結できた。日本でサポートしてくれたメンバー の皆さんのおかげである。どうもありがとうございました。 また、明日は朝早くから移動しないといけないので、今日に支払いを 済ませた。驚いたことに英語は通じない。全部カードで払うが、電話 代だけは領収書から差し引いてくれ、などと中国語で説明できるわけ がない。正確には仕事でかけた電話も含まれているが、話が面倒にな るので「電話代はプライベート」の原則だ。でも国際電話はやっぱり 高い。ここは、今日でお別れということでホテルまでついてきてくれ た米田さんが取り仕切ってくれて、通訳をしてくれた。 しかしＪＣＢカードを出すと、ピーッとか端末を通してあーでもない、 こーでもない、といろいろやっていたが、 「別のカードを持っていないか？」 とのこと。てめぇ、俺はそのカードを１週間前に使ったぞ！ とか言っても通じる相手ではないので、ＶＩＳＡを急遽出した。 なんとか支払いは済んだ。ちなみに、これも野口さんから聞いた話で は、一泊１５０００円くらいだと聞いていたが、なんと４泊で10000円 くらいだ。私はとんでもなく安ホテルに泊まっていたらしい。そう言 えばドアチェーンも無いし、部屋のポットにはお湯も入っていない。 ホテルでは、このような長文メールを書いていることからもわかると 思うが、ずーっと仕事をしているのであまり気にならなかっただけの ようだ。よく考えたら部屋の暗さは致命的で、本を読むこともできな い。パソコンだけが明るく光っている。目にはきっと良くないだろう。 以上で終わりです。最後までありがとうございます。 |