＜１２月１７日（水）＞
21:15成田発で出発予定である。前回と同じく前日が福岡出張
だったため、朝一番の便で会社に戻った。会社（赤坂見附）には
10:00前に到着。溜まった出張旅費清算などをやった。それだけ
で30万円くらいあるだろうか。あまりにも額が大きいので、自分
の貯金が一体いくらあるのかよくわからない状態だ。
実はこの時点で荷物をまだ作っていない。そのため、昼過ぎに
会社を出ていったん自宅マンションに戻った。今回はホテルでの
勉強時間にRouterで最後のシミュレーションをしようと思って、
２台の1603R（自分所有）を持ち込むことにしている。普段は会社
においているのでハンドキャリーで持ち帰った。1603Rは小型なの
でこういう時に便利だ。というよりも、このシドニー行きのため
に持ち込めるサイズのRouterを購入したというのが正解である。
約一時間ほどで慌てて荷物をまとめた。
余談ではあるが、私はこれらの1603R以外にも福岡のオフィスに
７台のRouter（2500と4500）、さらにPIX（Firewall）を所有して
いる。それだけで何十万もする資産である。メモリなども自費で
増強している。その機器を使って週末は会社に出て勉強を続けて
いる毎日である。日々勉強をすることは当然なので特別なことで
あるという認識はあまりないが、このようなプレッシャーの中で
の勉強は体に悪い。今回の試験に合格して、自由に勉強を楽しめ
るようになりたいと心から願っている。
まずタクシーで池袋まで移動。そこからリムジンバスで成田に
移動である。
ここで前回と同じではあるが、今回の出張について説明する。
ネットワーク機器メーカのシスコシステムズ（本社サンノゼ）の
最上位資格であるCCIEのラボ試験のための出張である。なおCCIE
は現在４種類あるのだが私はRouting&Switchingは既に取得している
（前々回の出張記参照）。そこで新たな挑戦としてSecurityに関する
CCIE資格を目指している。ふたつ以上のCCIE資格を所有することを、
俗に「ダブルホルダー」「トリプルホルダー」と呼ぶが、２年半前
はダブルホルダーが世界で３人で、トリプルは１人だったはずで
ある。現在ではその数も増えているようであるが、それでも何十人
もいるものではないと推測される。私の計画ではトリプルまで取っ
て、世界屈指のエンジニアになるのが目標なのである。その時点
ではサラリーマンをやめても大丈夫であろう。
CCIE試験は学科とラボ（実技）に分かれるが、学科に合格した
ものだけがラボへと駒を進めることができる。私は約一年半前に
学科に合格した後、前回出張記に書いたように一度ラボ試験を不
合格になり、約５ヶ月間勉強してラボに臨むわけである。前回は
正直言って通る気があまりなかったが、今回は必勝体制で臨んで
いる。毎週末の土日は全て会社に置いた機器を使用しての勉強に
当てたのはもちろんだが、平日の夜も会社から帰って、夜な夜な
勉強していた。特に直前２ヶ月の平均睡眠時間は４時間を切って
いるだろう。とにかく必死に勉強をした。
Securityラボは日本では受験できない。サンノゼ、ベルギー、
北京もしくはシドニーで受験することになる。Routing&Switching
を合格することができたシドニーが土地鑑もあるし時差が少ない
ので移動が楽なため、受験地に選んでいる。最近受験地に加わった
北京が近くていいように思うかもしれないが、私は以前北京に出張
に行って、「もう二度と来るか！」と思った過去がある。なので
シドニーが一番良いのである。但し、もし日本で開催されるように
なればもちろん日本で受けたいのは当然である。
成田到着。スーツケースの中は技術書などが満載である。さらに
２台のRouterも入っている。その上、飛行機の中でも勉強できる
ようにかなりの書物を機内に持ち込むつもりである。なお、日本で
は冬であるが、南半球のシドニーは当然夏である。着ていくもの
が難しい。
私はJALのグローバルクラブ会員なので「Seasons」と書いている、
ファーストクラス専用カウンターでチェックインできる。前回、
係りのおねえさんに、汚い格好でなめられてエコノミーのカウンター
に回されそうになった私であるが、今回はトラブル無し。荷物は
大変重い。35キロを示している。普通は20キロまでなのであるが、
グローバル特典として40キロまで大丈夫だ。何から何まで優遇され
ていて、気分は悪くない。
前回もそうであるが、行きだけは自費でビジネスクラスにアップ
グレードしている。行きで疲労したくないからである。帰りはどう
でもよいが、行きで疲れては試験の合否に関わる可能性もあり、
慎重になっているのである。こういうところのお金は惜しんでは
ならない。
出発まで２時間くらいはあるので、グローバル専用ラウンジで
勉強することにする。なお、ビジネスクラスラウンジではない。
グローバル専用ラウンジというのがあってそちらの方がゴージャス
なのである。この、成田のグローバル専用ラウンジは素晴らしい。
とても広く実にゆったりとした空気が流れている。
今回の出張では重大な使命も背負っている。いつも会社でお世話
になってばかりのムラマツさんから
「カンガルーのキン○マ袋でできたポーチを買ってきて欲しい」
と頼まれている。事前に調査をして、画像を何とカラー印刷して
持ち込むことにした。そんなもの英語で説明できないので、見せた
方が早いだろうという考えからである。ちなみに現地ではラッキー
ポーチと呼ぶらしい。
＜機内にて＞
約９時間でシドニー到着であるが、今回も往路はビジネスクラスな
ので実に快適である。前回、朝の食事が出てこずに、散々JALともめ
た件があったのであるが、今回は何の不満もない。やはりJALのサー
ビスは素晴らしい。食事も素晴らしい。鳥料理などを食べた。ビジ
ネスクラスでは、ワインリストの中から選べたりする。普段の外食
でもワインリストなどを出されたことは滅多にない。
鳥料理と言えば、巨人の長嶋元監督が、海外で鳥料理を食べよう
として注文する時に
「アイム、チキン」
と言ったらしい。全く長嶋元監督の英語は素晴らしいものである。
前回はデモクラシーの話題を出したが、枚挙に暇がない状況だ。
ビジネスクラス以上では、ちょっとお腹が減れば、JALのオリジ
ナル商品である「ですかい」シリーズを食べることもできる。
これらには
・うどんですかい
・そばですかい
などがある。多分、「ですかい」と「スカイ」を掛けているので
あろうが、と言う事は
「うどん de SKY」
ということだろうか。deなどと言われるうどんの身にもなって欲しい。
ちょっとおかしくはないか？
昔、NECの宣伝で「バザールでござーる」というキャッチコピーが
あり、テレビCMでもかなり流れたので印象に残っている方もおられ
るだろう。これが結構かわいくて、人気になったため、NECが愚行
に出たのである。「バザール de ござーる」などとしゃれた言い方
にして、「ござーる」という猿の物語を謎解き風にしたのである。
「果たしてござーるの正体は？」という謎解きだったかどうか
忘れてしまったが、予想に反して全然盛り上がらず、全く企画倒れ
に終わったことがあるのだ。
（注）猿の名前がござーるだったかバザールだったか記憶があり
ません。間違っていたらすいません。
たくさんの書物を機内に持ち込んでいたが、本来は到着してから
の勉強を一生懸命にすべきであろう。できれば寝ておきたい。パイ
レーツオブカリビアンなどを見て、眠たくなったのでそのまま寝て
しまった。
なお、「JALともめた」件であるが、朝食を出されなかった分に
ついて、特にビジネスクラスは何十万円も高い旅費であり、食事は
旅行の楽しみでもある。なので、食事代のみを返せ、と主張した私
にJAL本社の回答は
「約款上は、A地点からB地点までお客様を運ぶことのみに限定して
書かれている。それ以外のことについて履行できなかったとして
も契約上の問題は生じない。よって謝罪以外のことはできない。」
ということである。これらのことはきちんと文書で頂いている。
JALは色んなメディアで公開しても構わないということであるので
興味のある方はご連絡頂きたい。
但し、JALの公式ホームページでは出される食事の内容について
まで細かく書かれている。これを見る人間は、当然だがこれらの
食事が出されると期待するだろう。さらにこれらの内容をみて
JALのビジネスクラスを指定して乗る乗客もおられるだろう。
JALは「ホームページの内容は保証しない」と言ったのだが、果た
してそれで納得する乗客はいるのであろうか。天候不良などの
理由ではなく、キャビンアテンダントさんの不手際によるもので
ある。私もビジネスマンなので経験があるが、不祥事を起こせば
相手先企業から損害賠償を請求されることもある。かつて私の上司
は業務上過失致死の疑いで警察の取り調べを受けたこともある。
仕事とは厳しいものである。失敗をすればそれなりのしっぺ返し
を食うのが現実だと思う。
納得してはいないが、もうこれ以上JALに期待しても無駄なよう
に思う。誤解が無いように言っておくが、あくまでも約款上の話
をしているだけで、これ以上のことは、JALとしては
「それ以上おっしゃるのであれば、それは民事裁判で争うしかない」
とおっしゃられたので参考にして欲しい。
到着は現地時間の朝９時の予定である。元々、一時間の時差があ
るのだが、サマータイムでさらに一時間早い。だがこれくらいだっ
たら時差ぼけなどは無いので心配要らない。
＜１２月１８日（木）＞
無事着陸。入国審査へと進む。前回同様に、私は「さとうのご飯」
を持ち込んでいる。オーストラリアは食べ物の持込には大変厳しい国
である。申告すれば問題の無いものでも黙って通過しようとしてバレ
てしまったら、罰金や最悪の場合は投獄されることもある。最近も、
日本から出張の会社員が申告せず、さらに裁判所への出張命令にも
従わず、大変な事態になったと聞いている。正直に申告することにした。
検疫検査ラインで待っていると、私の前に並んでいたおばちゃんと
検疫係官が困っているようである。おばちゃんは何も英語がしゃべれ
ないらしい。私を見つけた係官が
「あなたは日本ですか？ この人の通訳をして欲しい。」
と頼まれた。ソーメンを持ち込もうとしていることを伝え、無事
検査が済んだ。
私も特に問題が無い、、、、と思っていたが、ふりかけが引っ
かかってしまった。卵はダメなのだ。あーあ。。。
正確には卵が入っていないふりかけもあったが、ここでもめても
仕方ないので
「Please drop them」
と、全て廃棄をお願いした。申告していたので法的な問題はない。
なぜ米を持ち込むのかは、見知らぬ外国でレストランで食事を取る
ことを想像して欲しい。できれば皆さんもひとりでは行きたくない
はずだ。試験に集中したいので、余計な心配を背負いたくないから
そのようにしている。なお、今回のように卵や肉類は持ち込み禁止
なので注意して欲しい。
タクシーでホテルに向かう。試験が行われるのはシスコオースト
ラリアのある町でchatswoodというところだ。シドニーからはタクシー
で30分程かかるところで、田舎町である。もう４度目であるが、と
ても気に入っている町だ。
いつものホテルにチェックインし、まず行ったことは、ムラマツ
さんから頼まれた例のブツを入手しなければいけない。ある意味、
試験よりも重要な項目かもしれない。フロントで
「このタイプのグッズをお土産のために探している。この近辺で
扱っているところはないか」
と画像を見せながら尋ねたのだが、
「この辺では売っていない。The RocksというCityに行けば売って
いると思う。タクシーを呼びますか？」
ときた。さすがにカンガルーのキン○マを買うためにタクシーには
乗れない。とりあえずあきらめることにした。
部屋に入り、スーツケースから膨大な勉強道具を取り出した。
しかし飛行機の中で寝ていたとはいえ、かなり眠い。しばらく寝
ることにした。昼過ぎに目が覚めたのでそれから深夜まで勉強した。
いつもは試験は朝の９時半からの開始なのであるが、直前にシス
コオーストラリアからメールが来て
「７時に開始したいので、６時５０分にビルの前に来て欲しい」
と連絡が来て、しぶしぶ承諾したので朝が大変早い。１時過ぎに寝る
ことにした。
＜１２月１９日（金）試験当日＞
朝、５時５０分に起床し、少し勉強してから受験会場に向かう。
もう４度目なので慣れたものである。シスコからは
「朝が早いのでビルはまだ施錠されている。ドアの前で待って
おくように」
とのことであった。ほどなく試験官が来て会場に案内される。
前回と同じ試験官だ。
今回は私の他に３人の受験者がいる。私以外はRouting&Switching
の受験とのこと。
何でこんなに早くの集合になったのか尋ねてみると
「自分は明日から休暇に入るのであるが、病気の親類をピックアップ
してから飛行場に行かなければいけない。そのために早く帰宅する
必要があった。」
とのこと。やはり、お前の個人的な理由かよ。
簡単に本人確認をして試験開始だ。試験は８時間の長丁場になる。
その間はほとんど休むヒマは無い。英知を結集した８時間となる。
シスコとは試験の前に守秘義務契約を結んでいるので、試験内容
には触れることはできないのでご容赦願いたい。とても難しい内容
だ。公開されている内容の中で説明すると、RouterやSwitchや
ファイアウォールを使って大規模なネットワークを構築していき、
その際に必要なSecurityをそれらに施していく。とてもハードな内
容だ。CCIEのRouting&Switcingに合格できるベースがあって、初め
てこの問題の意図がわかるであろう。
試験中、どうしてもクリアできない問題にぶつかった。理論上は
動作しない方がおかしい。よほど
「オレは間違えていない。機器の問題ではないか？ チェックしろ」
と、言おうとしたほどだ。だが、どんな時でもそれを避けることが
できるのがCCIEの実力というものだ。
何とか自分で解決しないといけない。時間は刻々と過ぎていく。
何度もRouterをRebootするがダメだ。少なくとも動作が確認できて
いたところまで設定を戻せばいいので、それから考え直そうとした
が、何とそれでも動かない。何で？？？
そういうことって理論上、おかしいだろ。
結局、違う方法に設定を切り替えて切り抜けたが、合計して約３
時間のロス。もうだめかもしれない。その他にもおかしな動作を
して、さらに一時間のロス。致命的な時間ロスである。しかし、
冷静に現状を分析して、残りの設問と時間を計算してひとつの設問
にかける時間を予め設定していった。
あっという間に昼食だ。今回、私の他にアジア人が２人来ていた
が、その２人は
「考え中なので食事は食べない」
なんてことを抜かしていた。その時点で、お前たちの負けは決定
だ。ご苦労さん。と言いながらも私の頭の中も試験のことでいっぱ
いだ。
午後がスタート。ロスした時間があまりにも痛くて、時間が
足りない。終了ギリギリまでコマンドを打ち込んだが、読むだけ
で何も設定できなかった問題が多数ある。感触から言って、ダメ
だろう。
そうこうしているうちにタイムアップ。プロクターに挨拶して
ホテルに戻った。何度も考えるが、合格するだけの点数は取れて
いない気がする。しかし、次につなげなければならない。早速、
覚えているうちに問題をまとめることにした。なお、これらの
覚えた問題は当然であるが他人に教えることはできない。
そのようなことをすると、資格剥奪になるし、損害賠償を請求
された例もあると聞く。
皆さんはせっかくの海外なのだから少しは遊んだら、なんて
気楽なことを言うが、もちろん受験のためなので試験前はどこ
にも行かないし、終わったら覚えていることをまとめるだけで
あっという間に深夜になってしまう。この時点で合否はわから
ないので、次の試験のことを考えてできるだけのことをするの
は当然である。公費での出張なのである。
＜１２月２０日（土）＞
朝の６時に起床し、メールをチェックすると合否を伝える
メールが来ていた。残念ながら不合格。また勉強の日々が続く。
７時にチェックアウトし、呼んでもらったタクシーで空港に向
かう。と、前回と同じタクシーである。前回は
「次に来たときは観光の際に自分を呼んでくれ。数人でくれば
とてもお得だ。ツアーよりも安い可能性もある」
とうるさかったのだが、今回も全く同じだ。うるさい。
おまけに
「以前、自分のタクシーに乗ったことがあるか？」
と聞いてくるので、本当のことを言うと面倒なので
「いやぁ、覚えてないっすよ」
とごまかすと
「マイビー（英語のMaybe）、乗ったことがないはずだ。
でもあなたの顔はとても親しみやすい。」
などと抜かしやがった。何が親しみやすいだ。全く、うるさ
い奴だ。まぁ、陽気な奴なので話しにつきあってあげたが、
オーストラリアでは携帯電話で話しながらの運転は罰金に
なるとのこと。ハンズフリーを使用しなければならない。
シートベルト未着用も罰金とのこと。日本では多くのばか者
が運転中に携帯で話しているばかりか、メールも打っている
と言うと
「オー、テリブル！」
と言っていた。まぁ、当然だろう。実際、恐ろしいことだ。
以前、たまごっちを操作していた死亡事故を起こしたバカ
主婦がいたが、そのうちメールで死亡事故も起こるだろう。
いや、もう、起きているかもしれない。確か、日本でも近々
法整備されると聞いているが早くして欲しいものだ。
空港に到着。早速チェックインし、ここでも例のポーチ
を探すことにした。民芸品を売っている店があったので
行って画像を見せると、親切にも
「この店には無いが、あそこの店だったらあるかもしれない」
と、わざわざ教えてくれた。で、そこに行ってみて画像を
見せると
「オーッ、それなら置いてますよ。」
とのこと。やっとゲットできた。どういう免税措置なのか
わからないが、お酒を買う時みたいにパスポートと搭乗券
を見せるとディスカウントしてくれた。但し、出国の際に
外してもらえるが、タグをつけられた。キン○マごときに
大袈裟である。キン○マが免税品かよ。
今回の出張の大きな目的のひとつ（キン○マ捜索）はこ
れで達成できたが、やはり試験に合格しないとダメだ。次
回は約２ヵ月後を設定したいと思っている。また、帰って
から勉強漬けの毎日になるだろう。実際、帰りの便では、
Routingの基本からやり直そうと思って、BGPとOSPFに関す
るドキュメントを読みまくった。帰りの便にも、かなりの技
術書を持ち込んでいるのである。成田に着いたとき、
「おや、もう着いたのか」
と思ったほど、勉強に没頭していた。
これを書いている時点で成田から東京のマンションに戻
る途中なのであるが、もう明日には福岡に戻って日曜日に
勉強予定である。私の挑戦は果てしなく続くのである。
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